第3回研究会
(オンライン)

【テーマ】
万引き事件に対する刑事弁護
2022年6月13日(月)
19:00~21:00

テーマ

万引き事件に対する刑事弁護

開催概要

●日程・開催時間
2022年6月13日(月) 19:00~21:00
※後半30分間は意見交換

受講費について

(参加費用)
●会員
1,000円
●非会員
3,000円

(2022年度会員年会費)
●会員の方
2022年度年会費未払いの方は、お申込み時に年会費を併せてお支払いください。
会員参加費に加えて、2022年度年会費 5,000円

●非会員だが2022年度の会員になって参加する方
会員参加費に加えて、2022年度年会費 5,000円
※会員資格発生後は、学会誌の最新号と会員向けメールマガジンをお送りします。

(1)参加費はお支払い後、参加者様都合の場合、返金はできかねますので、ご了承ください。
(2)ご入金確認後、研究会開催3日前までには、お申し込み時のアドレスへ参加用URLを送信します。

お支払い方法
●郵便振替
自動返信メールの記載を必ずご確認ください。

●クレジットカード
申し込みフォームより必要事項を入力しお支払いください。
※決済プラットフォームはStripe(ストライプ)を使用しています。

申込み方法について

上記タブ「申し込みフォーム」からお申込みください。
※申込完了時に申し込みフォームに記載された「連絡先メールアドレス」に自動配信されます。
自動配信メールが届かない場合は、受付が完了していない場合がございます。問い合わせ先のアドレスに照会をお願いします。
※HP申し込みフォーム以外の郵送・電話・E-mail等による申し込みは受理できませんのでご注意ください。

募集期間

~2022年5月30日(月)まで

注意事項

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研究会についての問い合わせ先

下総精神医療センター  担当:寺内 〈受付時間:平日9:00~15:00〉
〒266-0007 千葉県千葉市緑区辺田町578番地
E-mail:crct.mugen@gmail.com 電話:043-291-1221(内線8328)

研究会当日の緊急連絡先

NPO法人アパリ 担当:尾田
電話:090-3047-1573

第3回研究会は申込受付を終了しました。
多数のご応募をありがとうございました。

第3研究会「万引き事件に対する刑事弁護」の紹介

今の最高裁判所にあたる大審院で1931年に、心神喪失を精神の障碍に因り事物の理非善悪を弁識する能力なく又は此の弁識に従って行動する能力なき状態、心神耗弱をそれらの能力が著しく減退せる状態とする判断が下された。つまり、精神を評価する観点、並びに責任能力の障害を評価する観点が理事弁識能力と行動制御能力の2つであることが示された。今から91年前であるのでその考え方は古いかというとそうではなく、現在の精神鑑定においても検察官あるいは裁判官は被疑者や被告人を鑑定する精神科医師に、前出の2つの観点からそれらに障害はないかの鑑定を依頼するのである。つまり、現在も精神を理事弁識能力と行動制御能力の2つの観点から評価することが通常である。

私は1985年に医師となった。現在とは異なり、当時の研修はおそらくは入職する施設が自由に設定できた。私は医師1年目から精神科の教室に入り、研修中の一時期は外科医院や内科疾患の多い精神科病棟に配属されたが、現在まで、ほとんどの時期を精神科医療の現場で過ごした。しかし、目前の患者の症状を捉えてこれが行動制御能力の障害だと意識したことは2006年までなかった。その年に、条件反射制御法を開始し、初めて理解できたのである。それも、遡って1989年に私は現在勤務する下総精神医療センターに入職し、薬物乱用者に専門的に対応する精神科医療の現場にいたにもかかわらずである。

行動制御能力の障害がどのようなメカニズムで生じるのかを私に教えた条件反射制御法はまだまだ普及していない。従って、おそらくは精神科医師の大部分だけでなく、飲酒や薬物乱用、窃盗の反復、痴漢の反復、放火の反復など、同一行動を反復する疾病に専門的に対応する精神科医師でさえも、条件反射制御法を用いない者は、行動制御能力の障害がどのようなメカニズムをもつ病態であるかを知らないのである。

現在の刑事司法体系は薬物乱用や病的窃盗、痴漢を行った者を検挙すると、刑罰で対応することを基本にしている。薬物乱用や病的窃盗、痴漢は、行動制御能力の障害が強く影響して生じていることが多々あり、従って、責任能力の障害があり、犯罪であるか否かを検討するべきであるが、現状では、刑事司法体系はそのようにはなっていない。自由な事理弁識能力とそれに従って行動する能力でそれらの行動が生じたのであり、犯罪であると簡単に判断する。

法曹が犯すその誤りの原因は、反復する逸脱した同一行動が行動制御能力の障害に基づくと精神医学のほとんどの専門家が知らず、従って、刑事司法体系に伝わっていないからである。

それでも反復する同一違法行為に対する裁判において、行動制御能力の障害が認められるケースが出てきた。先陣を切ったのは、反復する窃盗行動である。その一部の判決は、摂食障害という疾病があることが原因となっていることを考慮するべきであるとしており、焦点が不鮮明となっているものがある。それでも窃盗事件に対する刑事司法体系の変化から、行動制御能力の障害に基づいて生じた薬物乱用や痴漢行為に対しても刑事司法体系が変化することが期待できる。

上記の窃盗を反復した者に対する裁判の変化に大きな貢献をしてきたのが、今回の研究会で報告者を務める林大悟弁護士である。

林弁護士に依頼されて私が出廷し尋問を受けた裁判で忘れられないものがある。林弁護士による今回の抄録の中でも紹介されているケースの1つである。

対象の患者は入院治療して条件反射制御法を受けた後、退院後は維持作業を行っていた。裁判では私に対する尋問が、林弁護士および検察官、裁判官の順で3時間半ほどに及んだ。林弁護士は条件反射制御法研修会にも条件反射制御法学会学術集会にも参加し、条件反射制御法で生じる症状を熟知している。林弁護士は尋問において、被告人の第一信号系が過剰に作動していたことを条件反射制御法の各治療作業における反応に焦点を当てて見事に私から聞き出した。それを裁判官は実に注意深く、理解しながら聞いていた。裁判を体験あるいは傍聴した方はご存じであろうが、尋問を受ける者は裁判官を見て話す。裁判官は尋問を受ける者を見て聞く。裁判官は私による講義を3時間半1対1でとまではいかないが、ほぼそれに近い状態で聞いたのだった。裁判官による私への尋問の最後は、「刑事司法体系が間違っていると平井先生はおっしゃっていますが、簡単に言うとどういうことですか」のようなものであった。刑事司法体系の誤りはたくさんあるのだが、回答を簡単にか、と私が考え、間は5秒ほどしかあかなかったはずだが、その裁判官が待ちきれなかった。裁判官は「刑事司法体系が第一信号系を検討に入れていないということですか」のように言った。私は「はい、そうです」と回答して、尋問は終わった。

第3回研究会では、ほとんどの裁判官と検察官が犯罪であると簡単に判断する窃盗行為が、実は行動制御能力の障害に基づくものであると説得する方法を林弁護士に明らかにしていただく。

2022年3月
条件反射制御法学会
理事長 平井愼二

テーマ:万引き事件に対する刑事弁護

報告者:林 大悟(弁護士法人鳳法律事務所 弁護士)

万引きは窃盗の一類型である。窃盗について定めた刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定する。

クレプトマニア(窃盗症、病的窃盗)事案に限らず、初めて万引きで起訴(公判請求)された場合、判決では執行猶予付きの懲役刑が言い渡されることが通例である。これに対し、執行猶予中に再び万引きをして起訴された場合、懲役の実刑が選択され、前刑の執行猶予も取消されるため、2つ合わせて服役することになるのが原則である。例外的に、刑法25条2項本文の規定により、「情状に特に酌量すべきものがあるとき」に限り、懲役刑に関し再度の執行猶予が付くことになる。なお、再度の執行猶予が付いた場合、必要的にその猶予の期間中保護観察に付されることになる(刑法25条の2第1項)。そして、保護観察中の執行猶予者に対しては、再度の執行猶予は許されない(刑法25条2項ただし書)。

以上のとおり、執行猶予中に同種万引き事件を起こして起訴されると、原則として懲役の実刑が言い渡されることになる。また、保護観察中の同種万引き事件で起訴されると、その執行猶予期間中に判決が言い渡される場合には、例外的にも執行猶予を付すことはできないことになる。

また、罰金刑が選択される場合とは、通常、前科がない被疑者に対し、検察官が略式起訴を選択して裁判所に罰金を求める場合が念頭に置かれており、被疑者に前科があり、検察官があえて起訴(公判請求)を選択し、裁判所に対して懲役刑を求めた場合には、裁判所は、懲役刑を選択し、執行猶予か実刑を言い渡してきた。

ところが、最近、裁判中に条件反射制御法を実施して再犯防止効果が認められた被告人に関し、例外的に再度の執行猶予判決が言い渡される事例が増えてきた(東京高裁第10刑事部平成28年12月13日判決等)。また、保護観察中の同種万引き事件において、異例の罰金判決が言い渡される事例がみられるようになった(松戸簡裁平成27年11月25日判決/東京高裁第2刑事部平成28年5月31日判決等)。

刑事裁判においては、思考停止した行為責任の考え方により前科前歴を重視して安易に懲役の実刑に処すのではなく、上記の裁判例のように、被告人が実践している治療効果に着目して再犯防止のためにいかなる処遇が望ましいかを個別具体的に検討した上で適正な量刑判断がなされるべきである。

本報告では、被疑者や被告人が実践している治療を継続させるために例外的に不起訴処分、再度の執行猶予判決、罰金判決等を得るための弁護活動の実践を報告する。

具体的には、1.被告人を治療に繋げる際の弁護士の手順、2.裁判における弁護活動のポイント等について述べたい。

上記の事項について、簡潔に記すと、1.については、初回の相談時において,被疑者・被告人やその家族から,被疑者・被告人の生活歴・病歴,前科前歴,犯行時の精神状態を詳細に聴取し,その情報を基に,適切な医療機関に繋げることが重要となる。この段階で援助者に求めることは、反復窃盗問題の背景にある疾病性について、適切な鑑別診断をして頂きたいという点である。正しい診断がなされることは治療効果を得るために極めて重要な前提条件である。

次に、2.についても、援助者の存在が不可欠である。すなわち、被告人が精神障害にり患していること、また、その精神障害が犯行に与えた影響の有無、程度、内容、そして再犯防止のための治療の実践と回復状況について、専門医の意見書ないし証言があることが重要である。また、本人に治療意欲があることは良い結果を得るためには不可欠な要素であり、裁判中から入院治療を開始することが望ましい。さらに、再犯防止のための家族の実効的な指導監督体制の構築は極めて重要である。

また、本報告では、治療環境の調整方法についても活動実践例を報告したい。

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