第六回学術集会
2017年09月09日
【時 間】10:00~18:00
【会 場】三井ガーデンホテル千葉 3階平安(東)
【住 所】千葉県千葉市中央区中央1-11-1 ※JR千葉駅より徒歩7分
ご挨拶
条件反射制御法学会 第六回学術集会の開催にあたって
条件反射制御法学会 第六回学術集会 大会長
条件反射制御法学会 会長 平井 愼二(独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター 薬物依存治療部長)
ヒトの行動と進化を研究したパヴロフは信号系学説を唱えました。その学説においてヒトの行動に関して重要なところは次です。ヒトは第一信号系と第二信号系の2つの中枢をもちます。第一信号系は動物もヒトももち、思考せず、反射が自律神経、気分、動作を直接司って、過去に防御、摂食、生殖に成功した行動を無意識的に反復し、動物全体の生命を支える中枢です。一方、第二信号系はヒトだけが持ち、評価、計画、予測、決断をして、意識的に動作を直接司り、行動を牽引し、個人の計画する未来を成功させようとする中枢です。
その学説を基に条件反射制御法を用いた臨床と研究により、ヒトの行動を効果的に改善するために十分なところまで、2つの中枢の関係を正しく把握しました。その把握は、ヒトの2つの中枢は強調して働くこともあり、摩擦したときは、強く作動する側の中枢が司る行動が実現されるというものです。
上の把握を基に、当学会は条件反射制御法の向上だけでなく、反復する逸脱行為に対応する社会制度のあり方をも研究の対象にして活動しています。
条件反射制御法学会第六回学術集会では「意識と無意識に対する技法と制度」をテーマにして、次の考え方の妥当性や実現性等を検討します。
広く知られている言葉である意識と無意識は行動の中枢であり、意識は第二信号系に、無意識は第一信号系に当たります。また、精神科領域の治療技法と逸脱した行動に対応する社会制度は、いずれもヒトの行動をよい方向に変化させることを目的とするので、働きかけの対象は第一信号系(無意識)と第二信号系(意識)の2つであり、働きかけの内容は各中枢の特性に応じたものでなければなりません。
一般演題では条件反射制御法を用いた働きかけ、あるいは裁判における信号系学説に従った主張への反応等に関する報告がなされ、検討が加えられます。
また、行動療法に造詣が深い原井宏明先生を迎え、精神科領域の治療技法を効果的にすることを焦点にして、原井先生と私が対談をします。
シンポジウムでは、次を前提にして法曹の方達が有責性と判決内容について討論します。
幻覚妄想や思考障害、意識障害、精神発達遅滞がないヒトあるいは軽微なヒトにおいて、ある行動を司る第一信号系(無意識)の反射連鎖の作動が第二信号系(意識)による制御より強く、その行動がそのヒトの計画に反して再現を反復する疾病状態に至ることがあります。計画とそれを実現する作用は司法の領域では「意思」という言葉で表されますが、「意思」は第二信号系(意識)による作用であると考えるべきです。従って、そのヒトに反復して生じるその行動が違法であっても、その疾病状態は、その行動に関して第二信号系(意識、「意思」)による制御能力が第一信号系の反射連鎖の作動に劣る状態であり、そのヒトのその行動の発現に関しては、弁識能力が正常でも、制御能力が障害されているのです。つまり、反復する違法行為自体は責任能力が障害された状態で生じています。
皆様の活発なご意見、ご質問等を歓迎いたします。皆様が楽しみながら学び、より多くの人を救う知識を深め、現場においてその知識を実践し、広めていただきたいと思います。
時間 | 内容 | タイトル | 講師 |
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9:30~ | 受付 | ||
10:00~ | 開会式 | 開会の辞 | 下総精神医療センター院長 女屋光基 |
10:10~ | 一般演題 | 第1座 | 座 長 結のぞみ病院: 中元総一郎 演 者 第一病院:増田正人 ほっとステーション:村山ひとみ 下総精神医療センター:堀部泰治 |
一般演題 | 第2座 | 座 長 多摩少年院:奧田 眞 演 者 新潟刑務所:田村勝弘 ほっとステーション:田原和代 八街少年院:西内公胤 | |
12:10~ | 昼休憩 | 理事会 | |
13:10~ | 総会 | ||
13:20 | 当事者体験発表 | ||
13:40~ | 対談 | 「行動を変える技法と理論を研ぎ澄ます」 | 対談者 なごやメンタルクリニック:原井宏明 下総精神医療センター:平井愼二 司 会 大通公園メンタルクリニック:山田秀世 金沢大学附属病院:野村英樹 アシスタント 千代田診療クリニック:岡嶋美代 ほっとステーション:長谷川直実 |
14:40~ | 休憩 | ||
14:50~ | 一般演題 | 第3座 | 座 長 NPO法人アパリ:尾田真言 演 者 髙橋洋平法律事務所:髙橋洋平 千葉ダルク:白川雄一郎 北海学園大学:飯野海彦 |
15:50~ | シンポジウム | 「同一違法行為反復者の有責性と処遇を考える」 | シンポジスト 最高検察庁:城 祐一郎 古屋法律事務所:古屋正隆 カルチェ芦屋法律事務所:安原浩 司 会 下総精神医療センター:平井愼二 |
17:50~ | 閉会式 | 閉会の辞 | 下総精神医療センター薬物依存治療部長:平井愼二 |
18:00~ | 懇親会 |