第11回学術集会

2022年9月10日(土)10:00~18:05

条件反射制御法学会第11回学術集会開催に際して

私は医師資格を得て4年間の研修を終えた後に、薬物乱用に原因する疾病状態に精神科医療を提供する専門部門で1989年に働き始めました。

すぐに次の3つの問題に直面しました。
1)患者の治療を優先し、規制薬物乱用を通報しない方針に正当な根拠がない。
2)患者が看護職員に対して暴力的であり、働きかけが治療的でなくなる。
3)患者の薬物に対する欲求が治まらず、再使用が頻発する。

上記1)に関しては、1999年に、規制薬物を乱用した者を精神科医療は通報せず受け入れ、治療を開始し、一方で取締職員との面接を勧め、同意した者を規制薬物が体内から消褪して証拠がなくなった時点で取締職員に面接させ、法の抑止力を処遇に設定する方法を構想しました。これが今回の学術集会で焦点の1つとなる∞連携の構想の端緒になりました。この方法を2000年から関東麻薬取締部の協力を得て開始し、他の施設にも同様の方法が広まりました。私が勤務する下総精神医療センターでは、今年2022年より、同部の協力が得られなくなり、この方法の一部を一旦、中断しています。

上記2)に対しては、患者の処遇方針の決定に看護職員が積極的に関わることで患者が看護職員を頼りにするようになり、暴力的になる頻度は一気に低下しました。また、上記3)の解決にもなったことですが、条件反射制御法を2006年に開発し、その実施を支えたのが看護職員による患者に対する綿密な指導と観察でした。患者に看護職員がより手厚くかかわり、また、その技法の効果もあり、緊張の高かった病棟は大きく変化し、治療的で安全な空間になりました。

条件反射制御法は、パヴロフの信号系学説に基づいて、覚醒剤への欲求を消すために始めた技法が強い効果を発揮したので、その名をつけ、改善を重ねたものです。開始からまもなくして他の物質使用障害にも用い、さらに、ヒトが行動するメカニズムを進化の点から次のように正しく把握し直し、万引きや痴漢行為等の本能行動が過剰に作動する疾病状態にも効果を上げられるようになりました。

ヒトは過去の生理的成功行動を反射で無意識的に再現する第一信号系、並びに未来に社会的成功行動を思考で意識的に創造する第二信号系をもち、各信号系による行動の方向が異なる際には、強い側の信号系による行動が生じます。

さて、刑事司法体系における犯罪の要件は、自由な意思による違法な行為で、その意思と行為に同時性があることです。その意思が指す作用は、思考とほぼ重なります。従って、やめる決意をしても再現される覚醒剤乱用は違法行為ですが、生理的には、その行為を進める反射の強さがやめようとする思考より強い状態で生じた行為であり、自由な思考による行為ではないので、犯罪の要件に照らし合わせると、犯罪ではないのです。

この結論は社会通念と摩擦します。しかし、刑事司法体系が働きかける対象はヒトであるので、その体系はヒトが行動するメカニズムに適ったものであるときに効果の高い体系になります。

現在の刑事司法体系は、それを構成する際の検討において、ヒトは理性に従って行動するものと把握し、従って、第二信号系の作用を生じさせる体系となり、初めての規制薬物乱用をとめる一般予防の効果を高くもちます。しかし、第一信号系の存在を検討に入れなかったので、やめられない状態に陥ったヒトによる規制薬物乱用をとめる特別予防の効果が強く限定されています。
やめられない状態で生じた覚醒剤乱用は犯罪ではないので、それに対応する制度はどのようなものであるべきかを、条件反射制御法学会は検討してきました。ヒトの行動メカニズムに適った制度こそが効果を発揮するからです。その制度について今回の学術集会でも、反復する薬物乱用を題材にして議論を深めます。

また、精神科医療と回復支援施設の連携もどうすべきかを検討してきました。この連携もやはりヒトの行動メカニズムに従って構成するべきであり、今回の学術集会のもう一つの焦点になります。

また、急がれることは、上記の根拠となる条件反射制御法の臨床での結果を示すことです。そうすることにより、前記のヒトの行動メカニズムが正しいことを支えるからです。これについては、わずかではありますが、私による基調講演で紹介いたします。

理性が行動を司るという考え方と条件反射制御法の考え方は、天動説と地動説のように異なりますので、初めての方は条件反射制御法の考え方を突拍子もないもののように感じられると思います。しかし、これまでの考え方ではどうしても不明なままになるところを解決するのは、異なった考え方であるはずです。

条件反射制御法の考え方は、進化に注目し、自然の摂理に従ったものですので、ヒトが2つの中枢をもつところから始めて行動の発現までの流れを考えることで納得できるはずです。

皆様のご参加をお待ちしております。

条件反射制御法学会理事長
平井 愼二

テーマ

薬物乱用に対応する者の役割と連携

開催概要

●開催日
2022年9月10日(土)

●時間
10:00~18:05

●形式
オンライン開催 Zoom(※)で行います
※Zoom(ズーム)とは無料で簡単に使えるWebサービスです。事前にアプリのインストールが必要です。
PC、タブット端末、スマートフォンでご視聴いただけます。ご視聴にはインターネット環境が必要です。
参加に伴う通信料は参加者負担となります。

●事務局
条件反射制御法学会事務局

参加費について

参加費用
●会員
3,000円
●非会員
8,000円

2022年度会員年会費
●会員の方
2022年度年会費未払いの方は、お申し込み時に年会費を併せてお支払いください。
会員受講費に加えて2022年度年会費:5,000円

●非会員だが2022年度の会員になって受講する方  
会員受講費に加えて2022年度年会費:5,000円
※会員資格発生後は、学会誌の最新号と会員向けメールをお送りします。

(1)受講費はお支払い後、受講者様都合の場合、返金はできかねますので、ご了承ください。
(2)ご入金確認後、研修会開催3日前までには、お申し込み時のアドレスへ受講用URLを送信します。

お支払い方法
●郵便振替
自動返信メールの記載を必ずご確認ください。

●クレジットカード
申し込みフォームより必要事項を入力しお支払いください。
※決済プラットフォームはStripe(ストライプ)を使用しています。

抄録集および招待URL

募集締め切り後、ご入金が確認できましたら、申込時の「連絡先メールアドレス」に「抄録集ダウンロードページURL」および「Zoom招待URL」を送信いたします。
印刷物としての抄録集は発行しません。学術集会当日までにご確認、準備をお願いいたします。

申込み方法について

上部タブ「申し込みフォーム」をからお申し込みください。
※申込完了時に申し込みフォームに記載された「連絡先メールアドレス」に自動配信されます。
自動配信メールが届かない場合は、受付が完了していない場合がございます。問い合わせ先のアドレスに照会をお願いします。
※HP申し込みフォーム以外の郵送・電話・E-mail等による申し込みは受理できませんのでご注意ください。

募集期間

~2022年8月24日(水)まで
申し込み期間を9月5日(月)まで延長いたします。ただし、延長された期間はクレジットカードによるオンライン決済のみとなりますのでご了承ください。
募集締め切り後、ご入金が確認できましたら、申込時の「連絡先メールアドレス」にメールで視聴用URLを送信いたします。

注意事項

PCの問題、Web接続環境が整っていない場合など、接続に関するサポートは行っていませんので、ご了承ください。

学術集会についての問い合わせ先

下総精神医療センター  担当:寺内 〈受付時間:平日9:00~15:00〉
〒266-0007 千葉県千葉市緑区辺田町578番地
E-mail:crct.mugen@gmail.com 電話:043-291-1221(内線8328)

学実集会当日の緊急連絡先

NPO法人アパリ 担当:尾田
電話:090-3047-1573

(2022年9月10日)
時間 内容 講師等
9:30~ Zoomでの受付開始 事務局
10:00~ 開会式 / 開会挨拶 平井愼二
10:05~ 基調講演:薬物乱用に対応する者の役割と連携
座長:長谷川直美
平井愼二
11:30~ 総会 髙橋洋平
11:40~ 休憩
12:40~ シンポジウム:∞連携を精査する
座長:平井愼二

 1.薬物乱用自体に対する刑罰
 2.義務として言い渡す治療や訓練と怠りに対する刑罰
 3.検挙前の治療や訓練の怠りに対する刑罰
 4.患者を通報せず、法の抑止力を利用する態勢

(各30分)
飯野海彦
尾田真言
岡田卓司
長谷川直実
14:40~ 休憩
14:50~ 自由報告:2題
座長:小早川明子
 報告1:刑務所出所者の社会内施設における回復を支える経済支援
 報告2:薬物乱用者の生活の場と回復を左右する生活保護
報告1:
曽根輝秋
報告2:
髙橋梨絵
15:50~ 休憩
16:00~ シンポジウム:回復支援施設と精神科医療施設の連携
座長:西村武彦

シンポジスト6名による発表90分間 (1人15分間)
討論・質疑応答30分間

田中秀泰
岡﨑有恆
藤村 現
古川愛造
白川雄一郎
五月女凱亜
18:00~ 閉会式 長谷川直実
【2022年8月24日現在】プログラム内容は変更されることがございます。

【担当者所属先および職名】

●大会長・講師
平井愼二:条件反射制御法学会第11回学術集会 大会長・下総精神医療センター 医師

●シンポジスト
【∞連携を精査する】
飯野海彦:北海学園大学 法学部教授
尾田真言:NPO法人アパリ 理事長
岡田卓司:岡田法律事務所 弁護士
長谷川直実:医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック 院長

【回復支援施設と精神科医療の連携】
田中秀泰:一般社団法人相模原ダルク 代表理事
岡﨑有恆:医療法人財団青山会 みくるべ病院 院長
藤村 現:静岡ダルク 施設長
古川愛造:医療法人十全会 聖明病院 院長
白川雄一郎:一般社団法人千葉ダルク 代表理事
五月女凱亜:独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター 看護師

●一般演題報告者
曽根輝秋:NPO法人潮騒ジョブトレーニングセンター 生活支援員
髙橋梨絵:独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター 看護師

●座長・司会
【総合司会】
尾田真言:NPO法人アパリ 理事長
【基調講演 座長】
長谷川直実:医療法人社団ほっとステーション 大通公園メンタルクリニック 院長
【総会司会】
髙橋洋平:髙橋洋平法律事務所
【シンポジウム 座長】
∞連携を精査する
平井愼二:条件反射制御法学会第11回学術集会 大会長・下総精神医療センター 医師
回復支援施設と精神科医療施設の連携
西村武彦:独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター 看護部長
一般演題 座長
小早川明子:特定非営利活動法人ヒューマニティ 理事長

参加受付を終了しました。
たくさんのお申し込み、ありがとうございました。

自由報告と申込み

会員の皆様から、条件反射制御法の実践や理論、あるいは信号系学説に基づいた社会制度のあり方についての自由報告を募集します。

●申込期限
2022年7月30日(金)

●報告者資格
報告者は、会員に限ります。Zoomのインストールをお願いします。

●報告時間
1件 30分以内(報告時間:20分程度、質疑応答:10分程度)

●抄録
下記より様式を取得してください。※抄録には題、所属施設、氏名、本文(800文字程度)を記載していただきます。

●申込み方法
受付を終了しました。

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