第十回学術集会

2021年9月25日

条件反射制御法学会 第十回学術集会開催に際して

 条件反射制御法は、2006年に覚醒剤使用障害に対する働きかけとして、不備の多い形で名称もなく試験的に開始しました。それから15年を経た今年、条件反射制御法学会が存在し、「トラウマと逸脱行動」をテーマにした第十回学術集会を開催します。

 覚醒剤乱用は、悪い人が能動的に行う犯罪という印象があります。その行為を生じさせる欲求を消そうとして働きかけ、検討を長年かけて進めて来たところ、弱い子どもが受動的に受けた過酷な体験がトラウマになり、それが原因となって逸脱行動を引き起こすのだろうと考えるようになり、今回の学術集会のテーマにもなりました。

 上記の変化の表層を見ると、条件反射制御法の開始時と正反対の状態を扱うようになったとも感じられます。しかし、その変化は無理なこじつけを行ったのではありません。覚醒剤乱用者に対する条件反射制御法を用いた臨床において、どうしても精神医学の基本的な知識では説明できない現象が定型的に生じたことから、その現象を進化の過程から検討すると、むしろ自然の摂理に極めて精密に合致したのです。それらの現象とパヴロフ学説に基づいてヒトが行動するメカニズムを考え直し、条件反射制御法に反映し、その技法の基盤理論と手順を整えてきました。その中でトラウマに基づいて逸脱行動が生じるという因果関係を自然に把握し、条件反射制御法で強い効果が得られるようになりました。

 条件反射制御法の基盤理論では、認知や意思、動機などの言葉を使いません。なぜならば、それらの言葉が表すところは、環境からヒトが刺激を受け、第一信号系(過去の生理的成功行動を反射で再現する中枢)と第二信号系(未来の社会的成功行動を思考で創造する中枢)が反応し、相互に刺激し合いながら各作用を進め、行動が生じるまでの過程の途中に、意識の表層で第二信号系により観察されたものだからです。つまり、認知や意思、動機などの言葉が表すところは行動の源ではなく、むしろ中枢作用の結果に近いものとして把握するべきです。治療理論において働きかけの対象にすれば効果は不良であり、また、責任能力を評価する材料とすれば問題に対応しない処遇を招きます。

 今回の学術集会では、日本EMDR学会理事長市井雅哉先生をお迎えして、ご講演をいただき、私と対談していただきます。EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)はトラウマに対する効果が高く、技法の構成は認知という言葉が表すところを離れているようでありながら、認知行動療法を利用する方達にも受け入れられているようです。その技法を古くから臨床で用い、研究され、日本に普及させた市井先生との対談では、ヒトの行動のメカニズムについて深い検討ができることを楽しみにしています。

 また、今回の学術集会では、「本当はどのような有責性があるか」というシンポジウムもあります。薬物乱用、万引き、痴漢等をするヒトのどこを本当に責められるのだろうか、どこを責めれば行動が正されるのだろうか、どこを責められず助けなければならないのだろうかということを検討します。幼少期に周囲の者からいじめられ続け、大人になったら精神科医療に相手にされず、刑事司法体系にいじめられ続けるヒトたちに、適正で効果的な対応をしなければならないのです。

 皆様にはこの学術集会に参加して、楽しく勉強され、社会を支えることをお願いいたします。

条件反射制御法学会理事長
平井愼二

テーマ

トラウマと逸脱行動

開催概要

●開催日
2021年9月25日(土)

●時間
10:00~18:00

●形式
オンライン開催 Zoom(※)で行います
※Zoom(ズーム)とは無料で簡単に使えるWebサービスです。事前にアプリのインストールが必要です。
PC、タブット端末、スマートフォンでご視聴いただけます。ご視聴にはインターネット環境が必要です。
参加に伴う通信料は参加者負担となります。

●事務局
条件反射制御法学会事務局 NPO法人アパリ

参加費について

会員と非会員で参加費用が異なります。
・会員:3,000円
・非会員:8,000円

(1)非会員の方は、参加申込時に入会手続きができます。(年会費5,000円) 
入会手続き完了後は、その時点での最新号から学会誌をお送りします。

(2)お支払方法
・郵便振込ご希望の場合
自動返信メールの記載を必ずご確認ください。

・クレジットカード決済
決済プラットフォームはStripe(ストライプ)を使用しています。

(3)参加費はお支払い後、参加者様都合の場合、返金はできかねますので、ご了承ください。

抄録集

Web上のファイルをダウンロードしていただきます。
お申込時の「連絡先メールアドレス」にURLをお知らせいたしますので、学術集会当日までにご確認、準備をお願いいたします。
印刷物としての抄録集は発行しません。

申込み方法について

上部タブ「申し込みフォーム」をからお申し込みください。
※申込完了時に申し込みフォームに記載された「連絡先メールアドレス」に自動配信されます。
自動配信メールが届かない場合は、受付が完了していない場合がございます。問い合わせ先のアドレスに照会をお願いします。
※HP申し込みフォーム以外の郵送・電話・E-mail等による申し込みは受理できませんのでご注意ください。

募集期間

~9月13日(月) 15時まで
募集締め切り後、ご入金が確認できましたら、申込時の「連絡先メールアドレス」にメールで視聴用URLを送信いたします。

注意事項

PCの問題、Web接続環境が整っていない場合など、接続に関するサポートは行っていませんので、ご了承ください。

学術集会についての問い合わせ先

NPO法人アパリ 担当:尾田
〒162-0055 新宿区余丁町14-4 AICビル1F
E-mail:crct.mugen@gmail.com
電話:090-3047-1573

(2021年9月17日 改訂)
時間 内容 講師等
9:30~ Zoomでの受付開始 事務局
10:00~ 開会式 / 開会挨拶 平井愼二
一般演題(3題)
10:10~ 報告1:女性の窃盗事犯者に対する条件反射制御法と生活支援 佐々木渉
長谷川直実
10:35~ 報告2:自助的回復支援施設の併設クリニックによる条件反射制御法の導入 金 悠七
11:00~ 休憩
11:10~ 報告3:取締職員が参加する治療的処遇 中村撤也
11:35~ 総会 尾田真言
11:45~ 休憩
12:45~ 講演 EMDR-その手続きと効果- 市井雅哉
13:45~ 休憩
13:55~ 講演 PTSD等に対する条件反射制御法 平井愼二
14:25~ 対談 講師2名による
15:15~ 休憩
シンポジウム:本当はどのような有責性があるか
〈司会者による発表〉
15:25~  信号系学説で考える反復違法行為者の有責性 飯野海彦
〈シンポジストによる発表〉
15:45~  覚醒剤乱用者の有責性 髙橋洋平
16:15~  万引き反復者の有責性 林 大悟
16:45~  性的逸脱行為反復者の有責性 小竹広子
17:15~ 討論
17:55~ 閉会式
プログラム内容は変更されることがございます。
【担当者所属先および職名】

●一般演題報告者
佐々木渉:医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック 主任ソーシャルワーカー
長谷川直実:医療法人社団ほっとステーション大通公園メンタルクリニック 院長
金 悠七:はまなすクリニック 院長
中村撤也:独立行政法人国立病院機構下総精神医療センター 准看護師

●講師
市井雅哉:日本EMDR学会理事長・兵庫教育大学 教授
平井愼二:条件反射制御法学会第十回学術集会 大会長・下総精神医療センター 医師

●シンポジスト
髙橋洋平:髙橋洋平法律事務所 所長
林 大悟:弁護士法人鳳法律事務所 所長
小竹広子:東京共同法律事務所 弁護士

●座長・司会
【総合司会・総会司会】
尾田真言:条件反射制御法学会事務局長・NPO法人アパリ 事務局長
【一般演題 座長】
西村武彦:独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター 看護部長
【講演と対談 座長】
長谷川直実:医療法人社団ほっとステーション 大通公園メンタルクリニック 院長
【シンポジウム 司会】
飯野海彦:北海学園大学 法学部教授

table {
border-collapse: collapse;
/* text-align: center; */
}

table th, table tr td {
border: solid 1px black;
padding: 0.7rem!important;
/*実線 1px 黒*/
}

受付を終了しました。多数のお申込みをありがとうございました。

受付を終了しました。多数のお申込みをありがとうございました。

0
    選択した項目
    何も選択されていません