千葉ダルク

●ホームページ

http://chiba-darc.org

●導入までの経緯

過去には、千葉ダルクのクライアントが覚醒剤やその他の違法薬物を再使用して、その後、もう一度、一からやり直したいと言って千葉ダルクに戻って来た場合、従来のダルクの対応としては、そのまま受け入れる、あるいは事情によっては強制的に退寮させる、という二つの選択肢しかなかった。

そのまま受け入れることは、そのクライアントの回復が中途半端に中断し、また、職員による観察や援助が大きな負担になるなどその者の問題だけでなく、他のクライアントへの影響も大きく、綱渡りの感覚があった。

一方、強制的な退寮は回復を支えることが役割である千葉ダルクの方針に反することであり、また、本人の意思にかかわらず仲間を切ってしまうことであり、さらに社会に迷惑をかけることにもつながる恐れがあった。

従って、クライアントによる違法薬物再使用への対応は、自助組織の運営においては大きな問題でありながら、解決できず、長く続いていたジレンマであった。
そのようなとき下総精神医療センターが、患者による違法薬物を絶対に通報しないと明言して治療を行い、しかし、治療中に取締職員と面接させて、違法薬物を使いがたい設定にするという態勢を確立した。その態勢を活用し、違法薬物を使ったクライアントに、下総精神医療センターでの取締職員との面接を提案して、再度、千葉ダルクを利用する許可を与えられるようになった。 ダルクの基本的な態勢は、囚われている薬物の種類、合法、違法を問わず、たとえ違法薬物であってもその乱用を反復する状態を病気であるとのみ捉え、自分たちの回復に焦点を当てるものである。そのことでダルクが施設内で違法薬物使用者を野放しにしていると捉えられることがあったかもしれない。そのような回復支援の態勢を保ちながら、違法行為をやめられない者に対する∞連携の方法で回復のために法の威嚇力を使うことで、違法薬物乱用は違法であるとする社会を支える連携の一員に千葉ダルクがなれたと考え、違法薬物使用を過去に行った私(白川)がその過去を受け入れ多少の挽回になる気がしており、うれしく感じる。

●現在の取り組み

千葉ダルクでは唾液による薬物使用(アルコール使用も検出可能)の検査キットを購入して月に1~2回アトランダムに全クライアントと職員を対象に検査を実施している。 過去に二度施設内で、複数の者が同時に覚醒剤を乱用した様子があり、検査により明らかにしたケースがあった。二回ともすぐに下総精神医療センターで診察してもらい再度尿検査をおこない、その後、入院と通院の中で麻薬取締官との面接を実施した。麻薬取締官との面接を終えた後は、再度、千葉ダルクで受け入れるだけでなく、他の関係の深いダルクへ受け入れられやすく、施設移動が円滑に進んだ。