第7回研究会
(オンライン)
【テーマ】
脳から見た発達障害
2022年12月14日(水)
19:00~21:00
テーマ
脳から見た発達障害
【報告者】小枝達也 先生
国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長
国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部長
開催概要
●日程・開催時間
2022年12月14日(水) 19:00~21:00
※後半30分間は意見交換
●形式
オンライン開催 Zoom(※)で行います
※Zoom(ズーム)とは無料で簡単に使えるWebサービスです。事前にアプリのインストールが必要です。
PC、タブレット端末、スマートフォンでご視聴いただけます。ご視聴にはインターネット環境が必要です。
参加に伴う通信料は参加者様負担となります。
●事務局
条件反射制御法学会事務局
受講費について
(参加費用)
●会員
1,000円
●非会員
3,000円
(2022年度会員年会費)
●会員の方
2022年度年会費未払いの方は、お申込み時に年会費を併せてお支払いください。
会員参加費に加えて、2022年度年会費 5,000円
●非会員だが2022年度の会員になって参加する方
会員参加費に加えて、2022年度年会費 5,000円
※会員資格発生後は、学会誌の最新号と会員向けメールマガジンをお送りします。
(1)参加費はお支払い後、参加者様都合の場合、返金はできかねますので、ご了承ください。
(2)ご入金確認後、研究会開催3日前までには、お申し込み時のアドレスへ参加用URLを送信します。
お支払い方法
●郵便振替
自動返信メールの記載を必ずご確認ください。
●クレジットカード
申し込みフォームより必要事項を入力しお支払いください。
※決済プラットフォームはStripe(ストライプ)を使用しています。
申込み方法について
上記タブ「申し込みフォーム」からお申込みください。
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※HP申し込みフォーム以外の郵送・電話・E-mail等による申し込みは受理できませんのでご注意ください。
募集期間
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参加申込受付を終了しました。
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注意事項
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研究会についての問い合わせ先
下総精神医療センター 担当:寺内 〈受付時間:平日9:00~15:00〉
〒266-0007 千葉県千葉市緑区辺田町578番地
E-mail:crct.mugen@gmail.com 電話:043-291-1221(内線8328)
研究会当日の緊急連絡先
NPO法人アパリ 担当:尾田電話:090-3047-1573
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第7回研究会「脳から見た発達障害」の紹介
条件反射制御法は強力な効果をもつ。この技法を臨床で用いてきた結果、どうしても発達障害に対応しなければならなくなった。条件反射制御法を開発し、手順を整え、効果が向上し、適用が広がったのであるが、そのようなときに条件反射制御法に立ちふさがるように現れたのが発達障害であった。
上記が発達障害への対応をするために第7回研究会に小枝先生をお迎えしてご報告をいただく理由である。発達障害に対応する技術をもたなければならないのである。この考えは、次に示すように条件反射制御法が展開した結果の一つでもある。
私(平井)は1985年に医師になり、1989年から薬物乱用者に専門的にかかわった。当初は、薬物関連精神疾患の根幹であるやめようという決意に反して薬物摂取行動が生じる現象を働きかけの焦点にすることは、わずかな手がかりさえ思いつかず、諦めており、薬物乱用者に対する精神科医療の役割は、幻覚や妄想の改善であると考えていた。
ところが2001年に病棟の一室で集団精神療法をしているときに、参加した患者の多くから、覚醒剤を連想させるものに遭遇したとき大便をしたくなる現象があることを教えられた。それが気になり、2006年になって調査をし、その結果から欲求には条件反射がかかわっていることを把握した。欲求を消せると考え、2006年6月1日に現在の条件反射制御法の大元を開始した。患者に反復する行動に関する刺激を入れ、反応を観察することを手探りするように続けた。現在では薬物やアルコールなどの物質を摂取してきた者がもつ欲求を消せるようになった。
条件反射制御法を開始してしばらくの間は、この技法は、過剰に反復する傾向のある行動の中でも後天的な反射が本流となった反射連鎖が作動して生じる物質摂取行動の反復のみを対象にできると考えていた。なぜなら、一代で変化させられるのは後天的な反射であり、従って、臨床的にも変化させることは可能であるが、一方、痴漢や万引きなどはそれぞれ生殖本能と摂食本能を次世代に伝える先天的な反射が本流になった反射連鎖の過剰な作動であり、先天的な反射は進化的に変化するので、一代では、つまり臨床的には変化させられないと浅はかに考えたのであった。
しかし、第一信号系の各要素の特性と各局面における作用を、報酬を与えない再現における変化の検討に正確に組み合わせるように努め、確認を反復し、次のように考えた。先天的な反射が本流となった反射連鎖が作動して生じる本能行動の過剰な作動であっても、その行動を司る反射連鎖は、後天的な反射と先天的な反射の混合によるものであり、従って、その反射連鎖の内の先天的な反射は臨床的には抑制できないのであるが、後天的な反射は抑制できるのであり、その抑制の反復により、反射連鎖全体の作動性も低下させられる。
この理論に従って、標的行動の方向を司る反射射連鎖の抑制のためにその反射連鎖の再現を先天的な反射が連続する部分で終わらせず、行動の失敗を明確にする現象を後天的な反射で構成することを保ち、また、第一信号系全体の駆動性を抑制するために、「体験の書き出しと後の読み返しに続く20単語の書き出し」(当会HP∞メールNo.27参照)の手順を加えた。この結果、先天的な反射が本流となった反射連鎖が作動して生じる本能行動の過剰な作動であるPTSDやパニック、万引き、食べ吐き、痴漢行為、ストーカー行為、放火等に対しても、条件反射制御法を用いて、かなりの程度の効果が得られるようになった。
ところがそのように条件反射制御法を適用する行動の種類を拡大したことにより、物質使用障害をもつ群とは異なる群がこの技法の対象に加わった。その異なる群がもつ特性が発達障害である。
発達障害は私の臨床の経験では、次のような障害であると考えている。第一信号系において刺激への反応の強さや反応する持続時間の逸脱により、注意の転動性が過剰に高いあるいは低いということが生じる。そのために一旦注意が向いた事象からなかなか離れられない現象や重要な刺激に対する反応が疎かになる現象が生じ、従って、思考においては事象間の比較が困難になり、本質的なものへの接近が不良になる障害であろう。
元々そのような障害をもつのであるから、後天的な反射の変更により疾病状態を改善する条件反射制御法では対応できないところを残すのである。これは、発達障害をもつ患者の反復する行動は治せないということではない。発達障害が軽度であれば、条件反射制御法の効果が良好に生じる例もある(当会HP∞メールNo.31,32,34参照)。一方で、発達障害が重篤であれば、状態の改善は不良なのである。
ここまで示したように条件反射制御法を用いる者は物質使用障害だけでなく、万引きや痴漢への対応を求められることもあり、発達障害に対応する技術をもつことが望まれる。
発達障害への対応策を示す教科書的な本などでは、周囲が本人の特性を知って保護的にかかわるという記載に留まっていることが多い。しかし、専門家は何かをもっているはずだと考え、第7回研究会に小枝先生をお招きする。小枝先生がお送りくださった抄録の最終に「合理的配慮も重要であるが、症状の緩和と脳機能の向上/回復をも目指すべきと考えている。」と記載されている。第7回研究会が待ち遠しい。多くの教えをいただき、その後の臨床に用いたい。
2022年11月
条件反射制御法学会
理事長 平井愼二
テーマ:脳から見た発達障害
報告者:小枝達也
国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長
国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部長
1.発達する脳とは?
小児を診る上で、まずは脳機能の発達に関する基本的な事項を知っておくことが大切である。
発達する脳とは、以下の7つの過程を経て成立する。
- 神経胚の形成と神経細胞の生成
- 神経細胞の移動
- 脳回の形成
- 髄消化
- シナプスの形成
- シナプスの刈込み
- 機能の局在
また、脳機能には性差があることも重要である。
2.自閉スペクトラム症に見られる脳機能障害
多くの知見があるが、まずは下記に示したDawson G(2002)が提唱した6つの症候と9つの局在が臨床の立場からは、もっともしっくりと来る。
- 帰属性と社会的報酬:前頭葉内側と扁桃体
- 陳述記憶と特徴との結びつけ:海馬と前頭前野
- 顔認知:紡錘状回、上側頭回、扁桃体
- 運動模倣:上側頭回、Broca野、下頭頂小葉
- 言語能力/音韻操作能力:上側頭回、Broca野、側頭頭頂部
- 実行機能:前頭前野
その他、ミラーニューロン説やこころの理論説などが良く知られている。
3.注意欠如多動症に見られる脳機能障害
前頭前野の機能障害と言われている。とくに右半球の前頭前野のボリュームが小さく機能の未発達が示唆されている。また、社会的報酬系の反応も弱いことが知られており、薬物治療によって改善すると言われている。
4.Dyslexiaに見られる脳機能障害
限局性学習症ではいわゆるDyslexiaの研究が最も進んでいる。常染色体性優性遺伝が示唆されていて、decodingを行う側頭頭頂部と左紡錘状回の機能低下が報告されている。これらの部位の活性は、合理的な指導によって回復するともいわれている。
<まとめ>
発達障害には、その症状に応じた脳の責任病巣があることが分かってきている。合理的配慮も重要であるが、症状の緩和と脳機能の向上/回復をも目指すべきと考えている。
略歴 | |
1984年 | 鳥取大学医学部卒業 鳥取大学医学部附属病院医員 |
1985年 | 松江赤十字病院小児科 |
1988年 | 北九州市立総合療育センター小児科 |
1993年 | オランダ政府奨学生としてフライ大学小児科へ留学 |
1996年 | 鳥取大学医学部脳神経小児科助教授 |
1998年 | 鳥取大学教育学部学校教育障害児病理学教授 |
2004年 | 鳥取大学地域学部地域教育学科教授 (改組に伴う名称変更) |
2009年 | 鳥取大学附属小学校校長 併任(2012年度まで) |
2013年 | 鳥取大学地域学部地域教育学科 学科長(2014年3月まで) |
2014年 | 鳥取大学地域学部附属子どもの発達・学習研究センター センター長併任 |
2015年 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部長 鳥取大学名誉教授 |
2017年 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長併任 |
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