∞メール No.24

 
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一部を抜粋したものを下に掲載しています。


会員の皆様
 ご無沙汰しております。
新型コロナウイルスは第2波を作り、猛威を振るっています。長く続いた梅雨があけ、心待ちにしていた夏になりましたが、例年より暑く感じます。
このような状況ではありますが、会員の皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
延期されていた北海道および高知での研修会は日程が決まり、また七回目となる関東研修会は、初めて茨城県で開催されます。学術集会も徐々に準備が進んでいます。
今回の∞メールへの投稿は聖明病院の土屋会生(つちやかずき)様からです。
同院から、もうお一方とともに下総精神医療センターの実地研修を受講されました。
聖明病院でも条件反射制御法が活発に用いられるようになると思われます。

平井愼二

下総精神医療センターでのCRCT実地研修を受けて

反復される問題行動の見方が変わった

医療法人十全会 聖明病院
作業療法士 土屋会生
(2020年2月5日寄稿)

令和2年1月27日から1月31日まで、国立病院機構下総精神医療センターにおいて5日間の条件反射制御法実地研修に参加させていただきました。その直前、1月11日には大阪で行われた条件反射制御法関西研修会にも参加させていただきました。
私自身、お酒や薬物、万引きなどの問題行為に悩まれている方の治療には10年ほど従事しており、その中で、条件反射制御法(以下、CRCTとします。)という名称は何度か耳にしていました。その都度、「どのような方法なのか?」と、インターネット等で調べていましたが、研修を終えた今、当時もっていたイメージとは大きく変わったことを実感しております。
そもそもは、偽物を使って患者様が、お酒や薬物などに対し嫌悪感を抱かせるものだと考えていました。「なんだ、俺はこんなものにはまっていたのか」と、諦めさせるようなイメージと表現すれば伝わるでしょうか。CRCTのお言葉を借りれば、第二信号系反射網の認識を変えるイメージのみであり、第一信号系に関しては、微塵も頭の中にはイメージしていませんでした。
そんな私にとっては、たとえ偽物でも使っていた時のような反応が生じることが一番の衝撃でした。「嘘だろ!偽物だよ!?」と実習中に思わず口に出そうになりました。
「使っていた時の快楽や欲求が出るなんて・・・・ますます好きになってしまうんじゃないのか?」本心はこのように感じました。しかし、パブロフの進化論を軸に、第一信号系や第二信号系の話、疑似ステージにおける「失敗」の重要性を聞いて、実際に見て、理論に裏付けられた治療法なのだと強く感じました。
嫌いにさせるのではない。わざと成功しない行為を反復し、反射連鎖を抑制する。そのために、スタッフの方々は、あらゆる道具(マネキン、スーパーマーケットのような品物類、疑似注射器、お酒の瓶、パチンコ台・・・下総精神医療センターには数えきれない小道具がありました。)を用意し、限りなく状況を再現することに努めていることに、驚愕しました。
これまで、お酒や薬を繰り返すのは、一度、生じてしまえば治らない。だから治療が難しい。そう考えておりました。また、お恥ずかしい話ですが、神経回路が繰り返すようになってしまっているのだから、どうしようもない。それはそのままで、色々なアプローチをしようと考えていたのだから、なぜ繰り返すのか、根本に着目していなかった自分に気が付きました。
繰り返す原因、先天的反射や後天的反射とその機序を学ぶにつれて、なるほど!と強く感じました。「また再入院してきたよ・・・どうすりゃいいんだ」と悩んでいた昔の自分に対して、「CRCTをやればいいんだ!」と答えが出て、スッキリした気分です。
CRCTは、時間や回数など、方法がきっちりとしています。最初は本を読み、話を聞いて「制約が多いのかな?」と感じましたが、現場の風景で感じたことは、職員も患者様も含め、やるべきこと、方法が明確で、治療方法にスキがないと強く感じました。臨床でのフィードバックに基づいて進化してきたCRCTだけあって、流石!の一言に尽きます。
これから、当院でもCRCTを実施していきます。下総精神医療センターでお会いし、研修にご協力いただいた患者様方が疑似ステージを繰り返すうちに、研修期間のわずか5日間で、まるで別人のように柔らかな、スッキリとした表情に変わったことも、印象深かったことの一つです。
問題行動を繰り返し悩まれている方の表情は、やはり暗い方が多く、「もうだめだ」と言わんばかりに、諦めきったような方も多くいると、10年、この業界で働いてきて感じています。
しかし、CRCTによって、回復できるという事、この事実はまさに希望なのではないかと感じています。
とにかく、一刻も早く準備して、CRCTを実践したい気持ちでいっぱいです。不適切な言葉なのかもしれませんが、研修を通し、実際に体験させていただいて、私はCRCTを「なんて楽しいんだ!」と感じました。医療従事者として楽しむ気持ちが強いのも、どうなのかとは思いますが、やはり、「CRCTで治るんだ!」という驚きと興奮が、強く心に残っています。
最後になりますが、平井先生をはじめ、研修にご協力くださった下総精神医療センターの皆様方、本当にありがとうござました。また、私もまだCRCTのスタートラインに立ったところだと考えています。今後とも、ご指導のほどよろしくお願いします。CRCTが世界に広がるよう、私も微力ながら貢献できるよう、これから奮闘してまいります。

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