∞メール No.18

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一部を抜粋したものを下に掲載しています。


会員の皆様
今年の学術集会まで残すところ3か月と少しになりました。自由報告の枠はまだ残っています。CRCTに新たなことを見つけた方、その技法の基板理論から他の領域に関係することを見つけた方、ご報告をお待ちしております。
次の項の記事は、下総精神医療センターで研究補助員を務めている園田真司さんが投稿されたものです。
研究補助員には、1日の研修会を受け、さらに、十分な臨床経験があると考えられる方、あるいは、1日の条件反射制御法研修会を受け、その後に、下総精神医療センターで5日間の実地研修を受けた方になってもらっています。
研究補助員は、入院した患者さんを担当医師と一緒に受け持ち、週に1度、3時間からときに一日、CRCTの進行に関わります。患者さんの変化を間近で見て、聞けるので、とても勉強になります。
過去には∞メールNo.9で岡本紳次郎さんが、「下総精神医療センターでのCRCT実地研修を受けて」という項に、「コントロール飲酒を見た」という題で記事を書いてくれました。その記事は実地研修に焦点があたっていますが、その記事にも記載されているように、岡本さんは、当時、すでに研究補助員として活躍しておられました。
下総の専門病棟は研究補助員の方の協力を得て、CRCTのデータを蓄積しています。

研究補助員からの報告

下総精神医療センターでの活動を振り返って

特定非営利活動法人 日本臨床心理カウンセリング協会
理事/統括事務局長 園田真司
(2019年5月20日寄稿)

 私は2016年8月1日より下総精神医療センター10病棟にて研究補助員として、毎週患者様に関わらせて頂いております。
 私が条件反射制御法を知るきっかけとなったのは、2014年11月に放送されたTVタックルの番組でした。すぐにWEBで検索をして2015年2月6日(金)開催の1日研修に申込をして参加しました。その後、実地研修の受講申込を行いたかったのですが実施日との予定が合わず、実際に5日間の実地研修を受講出来たのは、1日研修の受講から1年以上の期間が空いた2016年6月20日(月)~24日(金)でした。しかしながら今考えると、その1年超の間に条件反射制御法について自分なりに復習する時間が持てたことが、実際に5日間の実地研修を受講した際に活きたのではないかと思います。
 1日研修を受講した際に、条件反射制御法の技法はシンプルでありながら効果が高いと感じました。そして、5日間の実地研修で条件反射制御法の治療を受けている患者様の反応を実際に目にしてその効果を体感し、対話による心理カウンセリングだけでは、どんなに回数を重ねても問題のある嗜癖行動等は治まることがないが、条件反射制御法で欲求を無くした後であれば、患者様やご家族に対する心理カウンセリングは有効に働くはずであると思いました。
 研究補助員として活動をさせて頂く中で、条件反射制御法は「わかっちゃいるけど(やめたいけれど)やめられない」という行動や嗜癖がある患者様にとっては、非常に効果が高い手法でありながら実施の手順が明解であり、その技法を適切に学んだ援助者にとって、認知行動療法では消し去ることができなかった行動や嗜癖を抱える方に対して適切に対応する大きな武器であると思います。
 また、日々10病棟で患者様に携わり、条件反射制御法による治療の進行状況の確認や指導をされている看護師さんの努力なしには、ここまでの治療効果は出ることはなく、条件反射制御法の効果も実証出来ていないのではないかと思っています。
 そして、看護師の方々と我々研究補助員が患者様に対してそのような関わり方ができるのも、平井愼二先生を頂点とするピラミッド型ではなく、平井愼二先生を中心とした、限りなくフラットなチーム構造であればこそ可能になっているのだと思います。
 仮に、10病棟での条件反射制御法による治療の実施体制がトップダウン型であったとするならば、担当する患者様の条件反射制御法による治療の各ステージ進行状況を看護師さんが把握していたとしても、個々の判断で患者様の心身の状態に合せたステージ進行対応をすることが困難となり、条件反射制御法による治療に遅れや効果が出にくいなどの影響が生じるのではないかと思います。
 ちなみに、「チーム医療を成功させる10か条 現場に学ぶチームメンバーの心得」によると、チームの中で臨床教育を行い、即戦力を養い、レベルが上がれば権限を委譲するというやり方が紹介されていますが、下総精神医療センターの10病棟はその通りだと思います。
 そのような恵まれた環境の中で私も、患者様の治療の進行状況に合せた条件反射制御法の各ステージ進行予定を自分で立て、患者様に対して説明し、各ステージの設定をさせて頂けることで、非常に多くの学びがあると同時に条件反射制御法が常に進化していることを目の当たりにしています。
 現在では入院中の維持ステージでほぼ全ての患者様が実施している、「良かったこと/辛かったこと詳細の読み返しと書き出し・短時間内観」は、私が活動を始めた2016年8月頃にはなかったと記憶しています。実際に、物質使用障害と比較し強固である本能行動の過作動による行動や嗜癖の欲求の消去のため、また、過去の過酷な状況からの回復のために条件反射制御法の治療内容が進化しているのだと思います。
 また、研究補助員として患者様に対して条件反射制御法の疑似・想像を設定する際には、それぞれの患者様に対して、「最適で十分な刺激を入れるためにどのようなやり方をすれば良いか」を考えるようにしています。
 以前は、想像ステージの設定の際には、問題のある行動や嗜癖を行った1日の行動についての想像を最低200回実施するという形式でした。現在では想像ステージの準備として、過去に行った行動の場面10~20話を簡単に書き出すという作業を患者様に実施して頂きます。それらの場面を全て想像ステージで再現しており、多くの場面の想像を実施することで多くの反射を抑制し、退院後に過去のどの場面に遭遇しても反応しないように進化しています。
 研究補助員の活動を通して、覚醒剤やアルコール等、本来は自然界にない物質使用障害については、本能行動の過作動である病的賭博・ストーカー・性犯罪・放火・病的窃盗・摂食障害に比較すると、欲求の消去が非常に簡単であることを、実際に患者様の治療に携わることで実感しています。
 条件反射制御法については、書籍や1日の研修会参加で学ぶことも出来ると思いますが、実際に患者様と関わることが1番の学びであると思います。
 学びについての1例をあげますと、疑似ステージと想像ステージで患者様が記載する「観察票」というものがあります。研究補助員として活動を始めた頃は、観察票の記載の仕方や患者様が記載する内容にばかり目がいっていましたが、ある患者様の担当をしたことをきっかけに、観察票の記載状況の他にも見るべきところがあることに気づきました。それは、患者様の全身と言動です。疑似の設定をする際に、観察票を一緒に目で追いながら患者様に記載して頂いている時に、ボタッという音と共に大きな水滴のようなものが観察票に落ちたので顔を上げてみると、患者様の顔から大粒の汗が噴き出ていました。病棟で声をかけてから観察票の記載方法の説明、疑似の説明をしている際には汗1つかいていなかったのですが、観察票への記載を始めた途端に汗が吹き出てきたようです。患者様ご自身も、私に指摘されて初めて発汗していることを認識し、「お風呂に入ったばかりだからかな」と言っていましたが、その姿を見て以来、観察票を記載して頂く時には、必ず患者様の全身を目で見て、独り言にも同じように意識を向けるようにしています。
 患者様の中には、反応を正直に観察票に記載することで退院が伸びるのではないかという不安を持つ方もいるようで、次のようなことがありました。アルコール過剰摂取の患者様が想像ステージに入った後に「疑似で使用したお酒の瓶はアルコール消毒しましたか?」と問われました。口をつけても大丈夫なように洗剤をつけて洗ったことを伝えると、「初回の疑似でお酒の瓶に入っていた水を飲んだ時に、お酒の匂いがしたのでアルコール消毒してるのかと思っていた」と話されたのです。
 観察票を正直に記載される方もいれば、反応が大きく出ているにも関わらず「なし」の項目にチェックをする方がいるので、患者様の全身の反応を見つつ誘導にならないように気をつけて観察票の記載をして頂くようにしています。
 実際に1日研修と5日間の実地研修に参加されることで、「条件反射制御法は技法がシンプルでありながら効果が高く、適切に学ぶことで誰もが実施できる」ということを実感して頂けると思います。
ぜひ、1人でも多くの方に研修に参加頂き、そして、条件反射制御法を広めていく仲間になって欲しいと思います。

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