第三回学術集会

 

募集要項

【開催日】平成26年7月26日(土)
【時 間】9:30~17:30
【会 場】梅田スカイビル36階 スペース36L
【住 所】大阪府大阪市北区大淀中1丁目1-88

テーマ


条件反射制御法適用の限界を探る

条件反射制御法研究会会長 平井愼二

条件反射制御法は覚醒剤乱用者への対応において2006年に考案したものです。当初、パヴロフ学説を私は十分に理解しておらず、その学説を勉強しながら、この技法を不完全な形で開始し、臨床での実践を積み、手順を整えてきました。この経過において患者や喫煙する友人達に生じる反応から、条件反射が自律神経だけでなく気分と動作を司ることを確認しました。また、書物からパヴロフが研究の焦点としたのは行動と進化であったことを知りました。これらのことから、条件反射制御法は覚醒剤等の物質を摂取する行動に対してだけでなく、他の疾病状態に対しても効果を表すのではないかと考え始めました。しかし、それは畏れ多い考えであると感じ、そのように主張することには慎重でした。

ところが臨床の場に現れる患者の訴えは、私が慎重なままでいることを許しませんでした。

PTSDの様相を呈する反応性抑うつとも呼べる状態の方や物質に関連しない衝動制御障害をもつ方が治療を望んでいることを知り、それらの状態の成立課程を聴取すると、条件反射制御法が的確に対応する状態であると感じました。また、それらの状態に対していろいろな治療を受けてきたのに、なかなか改善がみられていないという経緯がありました。そのような事情から臨床で物質使用障害以外の疾病状態に対して条件反射制御法の適用に踏み切りました。新しく対象にした疾病状態の治療においては、患者さんの真摯な態勢にも恵まれ、明らかに良好な効果が得られました。現在では、疾病に留まらず、一部のヒューマンエラーの予防に対しても条件反射制御法は使われています。

条件反射制御法で用いる方法は大きく二つに分かれますが、標的はいずれも問題となる自律神経の状態や気分、動作を司る第一信号系の反射連鎖です。一つはその反射連鎖の作動を中断する負の刺激を成立させて利用するものです。もう一つはその反射連鎖を作動させて終末に生理的報酬を生じさせないことにより、その反射連鎖の作動性を低減させるものです。これらの二つの方法で、問題行動や気分、自律神経の変調が反復して生じる疾病の多くが改善し、一部のヒューマンエラーが予防されるのです。

そのような単純な条件反射制御法が種々の疾病や状態に対して有効であることは条件反射制御法の適用が広いという理解も可能ですが、逆に対応すべき行動や神経活動が反復して生じる状態が成立するメカニズムは類似している、あるいは同一であるという理解が正しいのではないでしょうか。そうであれば、疾病分類における基本的な考え方や疾患名、診断基準も変わることになります。

一方で、実際の臨床で対応する行動や神経活動の中枢は、対象者がヒトであるために、第一信号系と第二信号系のいずれかあるいは両方であり、第二信号系は多様な方向に作動します。従って、私達は条件反射制御法を用いて種々の疾病状態に挑戦しながらも、その技法でどこまで対応できるかを知り、また、対象者の第二信号系に関してはその作動の強さや傾向を知り、対応の必要性と対応の種類を判断しなければなりません。つまるところ、臨床においては多様な対応法を準備しておかなければなりません。

今回の学術集会の基調講演は中元総一郎先生が「文化は、人間と動物 いずれの営みなのか?」という題でお話を下さいます。文化は個人の行動の特性が集合し、様々な要素を含み、それぞれの社会を特徴付ける現象として成立したものですので、中元先生のお話はそのまま臨床での治療に役立つものであろうと予想します。また、種々の悩ませる状態に関して、皆様から条件反射制御法の適用を拡大し、限界を究めるご報告を期待いたします。

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